<フロリアナ島遠望>
早朝6時にアカデミー・ベイを抜錨し、次の目的地イザベラ島のVillamilに向かう。風は良かったがスケジュールの兼ね合いで機帆走で西進する。進路の左側、すなわち南側にフロレアナ島が遠望できる。
目的の港Villamilはガラパゴス最初の知事の名前に因んでいるという。彼は、一方では理想主義者でフロリアナ島に80人の囚人を連れて行って、「Refuge of Pease」と呼ぶ理想郷を開始した。しかしながら、この理想は成功せず、彼は失望のうちに故郷に帰って行ったそうだ。また、この島は古くから船乗りに有名であった。この島には「ポスト・オフィス(Post Office)」という湾があり、上陸すると浜辺に粗末な屋根の下に郵便受け用の樽が設置されている。ここへ来た人はその郵便受けに手紙を投函できる。その代り、すでに投函されていた手紙類から、自国あての手紙を持ち帰り、自国で切手を張って、正式に郵便システムに投函するしきたりがある。これを始めたのはかなり古く、帆船捕鯨がさかんなころといわれる。1793年にはすでにこの郵便箱があったといわれている。また一説には1812年に英国軍艦エッセクスのポーター艦長が郵便箱を設置したとも言われている。捕鯨がさかんなころは船員に大変重宝されていたという。現在では、観光客が利用しているそうだ。
スケジュールの都合で残念ながら立ち寄らず、先を急ぐことにする。
航海は順調で予定通り、2時半にはVillawilに錨を入れることができた。事前に知っていたから良いものの、海図がずれており、指定されている場所と海図の地形が違っている。しかも水深が3メートルしかなく、奥への侵入はあきらめて、湾の入り口近くで錨を入れる。
ただちに、エージェントが来て、港湾当局へ手続きをしに出かける。